始まり

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いつものように俺は遠乗りに出かけた。いつもの風景、いつもの空。 ただ一つ違ったのは、あの女がいた事くらいだ。最初は黒い塊だと思った。 確かめようと近付いたら、俺の認識が間違っていた事に気付いた。その黒い塊は女だった。 ……それに、見た事のない奇妙な服を着ている。 「おい、お前。大丈夫か?」 声を掛けてみるが応答はない。まさか、死んでる? 俺は馬から降りて、その女に近付き呼吸を確かめる。 ……息はしてるな。 それにしても、この女は何者だ?なぜこのような場所に? よく見ると、所々服が破け白い肌が露わになっている。 俺はしばらく考え、 「連れて行くか。」 こんな場所に置いて行ったら、野犬や追剥ぎに襲われてしまう。連れて帰って意識が戻るのを待つか…。 そう思った俺は、女を抱えあげた。 その瞬間、ほんの一瞬だが、俺が触れた瞬間女の体がビクッと反応した。 女の方を見ると、涙を流していた。 一体何があったというんだ。女を優しく腕に抱え、馬に乗せ屋敷に連れ帰った。
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