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軋むパイプベッドの音が鼓膜に張り付く。
僕の上で責め立てる兄の姿は、まるで獣。
僕を求めた人間はこの兄が初めてじゃない。
転生する度に僕はカイン以外と交わる。
それがカインの嫉妬を買う事になると解っていても止めることは出来ない。
カインの血が飲めない僕はそうして渇きを満たすしかない。
「アサ、イくよ…」
体内に熱が拡がった。
僕の中で果てた兄は引き抜くこともせず僕を抱きしめ髪を撫でた。
鈍痛が臀部に響く。
このまま眠りたい――兄の胸元に頭を寄せた。
目を閉じればすぐに意識が霞みだし奇妙な浮遊感がする。
兄の手が気持ちいい。
ゆっくりと意識を手放し、僕は眠りについた。
「おやすみ…アベル」
呟いた兄の言葉が届くことはなかった。
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