RoundⅡ

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† † † 視られている―― この感覚を僕は知っている… 気配は感じない。 けれど絡み付くような視線は感じる。 母?父?それとも兄? クラスメイト?教師? 解らない… 確かなことは僕の知る人物だという事。 死期が近いことを無意識のうちに能が悟る。 ――また見つかってしまった―― カインが見逃す訳がない。逃げても逃げても蛇のような執念で追われる。 逃げても逃げても… 解放は望めない。 「亜里、ちょっとおつかいお願いできるかしら?」 街頭に照らされた薄暗い道を一人で歩く。 静まり返った住宅街で僕の足音だけが響いている。 絡み付くような視線は未だに在る。何処からか僕を監視している。 見えざる捕食者に怯える心を奮起して足早に歩いた。 「アサ」 振り返ればスーツ姿の兄が立っていた。 駆け寄る僕を抱き止め頭を撫でてくれる。 その感触に酷く安心して、僕は兄の胸で小さくため息を吐いた。 「大丈夫だよ?僕がいるから…怖くないよ…二人なら…」 違和感。 あの視線がまた強くなった気がした。 「…僕がずっと一緒にいてあげる…永遠にね」 ――ああ… また捕まってしまった―― ゆっくり、ゆっくりと頸動脈が圧迫される。 息苦しい…全身が酸素を求めている。 僅かな呼吸すら許さないかのように唇と鼻を塞がれ、意識が朦朧としていく。 「還ろう…少し待ってて…僕もすぐに逝くから…」 混濁した意識の中で、満足そうに笑う兄の姿が見えた――  
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