RoundⅠ

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「見ーつけた」 暗闇に浮かぶチェリーレッドの瞳。 ああ、またゲームオーバーだ… 今度は僕の妹だったんだ。 「ふふ、アベル…隠れるのが上手になったね…?」 顔も声も僕の妹のまま。 囁きながら笑うカインの言葉が纏わりつく。 ロンドン特有の生ぬるい風が足元を撫でた。 霧が僕らを包み込むように周囲の景色を霞ませていく。 「アベル…逢いたかったよ…愛しい愛しい僕の方翼…」 僕の胸に突き立てた短剣を最奥まで捩じ込ませ、唇が重なる。 滑り込む舌の感触がした時、ずるりと短剣が抜かれた。 真っ赤に染まった顔を悦に歪ませたカインは、 自らの胸に短剣を突き立てた。 「病めるときも健やかなるときも…死すらも僕らを別つことはできない…」 誓いの言葉を呟くカインの口元から鮮血が溢れ出している。 僕が最期に見たものは、 罪の証の赤眼と零時を告げる時計塔だった――    
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