きしむ.

9/10

184人が本棚に入れています
本棚に追加
/187ページ
手術の日、病院の行きは母が帰りは旦那が送り迎えしてくれる事になった。 行きの車の中、母は涙をこぼしながら真っ直ぐ前をみてる。 交わす言葉は、ない。 病院に着き母と目が合うと私は、頷いて少しだけ笑った。 十枚程の一万円札を会計に渡す。 見ることのない‥ 抱くことのない‥ 我が子への初めてのプレゼントであり、我が子自身の値段だ。 手術の準備は淡々と進む。 麻酔が打たれて体が浮く様な沈む様な、そんな感覚に飲み込まれていく。 本来ならあり得ないはずだけど、手術中に私は覚めた。 出産とは違う痛みが体を走る。 カチャカチャと金属の擦れぶつかる音。 これは私への罰なんだ‥ そう思ってむしろ痛みの一つ一つに集中して感じてた‥
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!

184人が本棚に入れています
本棚に追加