頑張れ楓ちゃん

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 今回ばかりはそんな風に言ってられない。  なにせ真紀の力が――正確に言うならそのお兄さんの力が必要なのだ。こちらから出向く必要があった。  楓はインターホンを押した。  声が返ってくるの待っていると、それより先にドアが開いた。一瞬、無用心だなー、と楓は思ったが、それが真紀だったと納得する。  彼女の親友は誰にでも明るく、人懐こい性格をしているのだ。天真爛漫という表現がよく似合う。 「やぁーやぁー待ちわびたよ楓」  笑顔を携え現れた真紀の口調は、どうもオッサンのようだ。楓はわずかに苦笑しつつ、「こんにちは」と小さく頭を下げた。 「ん、こんにちは? …………ああ、そうか。もうお昼だったね。さっきまで寝てたから気づかなかったよ」 「寝てたって……もう一時だよ」
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