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「僕、休みの日は基本十二時まで寝てるから」
はにかみながら真紀はショートな髪の毛を撫でる。よくみると、その証拠に寝癖がついていた。
楓は呆れてため息をついた。
規則正しい生活を送る楓は、最低でも八時までには起きる。十二時など、ありえない時間帯だ。
「もう、あんまりだらけちゃ駄目だよ」
「楓が真面目なだけだよ。世の中、これくらいまで寝るのは普通だって」
「…………」
「うう、分かった。分かったからそんな目で見るにゃ」
「よろしい」
「ま、入ってよ。散らかってるけど」
真紀に手招きされて、楓はおずおずと家に踏み入れた。控えめな声で「お邪魔します」と言い、辺りを見渡す。
家庭の雰囲気が漂っていた。
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