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乱雑に並べられたスニーカー。ドアのすぐ横にはバットが立てかけられており、靴箱の上にグローブがある。大きな水槽には熱帯魚数匹飼われており、元気よく泳いでいる。壁には時折傷があり、築いてきた年月を実感できた。
なんか女の子がいる感じがしないな。
楓は自分の家と見比べそんな判断を下した。
自分は一人っ子だからそれが顕著に多いかも知れないが、それにしたって少しくらいは女の子っぽいもの――いわゆる可愛いものがあってもいいはずだ。それなのに、この玄関にはそんなものが一切見当たらなかった。
「わわっ、あんま見ちゃ駄目だよ」
「ちょっ真紀!?」
キョロキョロと忙しく視線を動かしていると、唐突に暗くなる。後ろから、真紀が両手で目を覆い隠していた。
「昨日こっちの片付けは諦めたんだよ」
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