気付いたときは、見知らぬ土地で

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───誰も知らないツキの《詩》 「おい、ツキ?」 いきなりのことに戸惑い、零がさらに声をかけようとするが、止まる。 ───影の詩が作るは影への扉 それは、ツキから黒い揺らぎがでていたから。 ───影は何にでも繋がる それは広がり、宙に波紋を浮かべながらでてくる黒い半透明な帯状のものになった。 ───けれど、影は何にも繋がらない その帯状のものは数を増やし、なにかを形作っていく。 ───それは嘘だから 弧を描き、崩れ、複雑な、幾何学的な模様を作る。 ───それでも繋ごう それは魔法陣に見えた。 ───例え、得られるものが嘘だろうとも 帯状のもののすべてがその魔法陣になった。 ───繋がったことは本当だから ツキが一息つく。 ───《火》 魔法陣が赤く染まる。 ───詠唱破棄:サラマンダー! 魔法陣から、紅蓮の炎が夜空へと舞い上がった。
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