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「あ。ところでエリちゃん」なんかもう愛称付けられてしまった。
「ひーくん知らない?」
「大学二年生のプリティーな男の子ですね」
「いや。そうなんだけど、そうじゃなくて……」
僕、プリティーだったのか。
「ひーくん、どこにいるか知らない」
「「知ってるけど知らない」」
「はぁ……?」
伯母さんと甥っ子が声を揃えて言って改めて血の繋がりがあったんだなぁ、とか嘘を吐いてみる。血が繋がっているのはもう亡くなってしまった伯父さんの方だ。あとは薄ーく友君と、さらに薄まって五十嵐姉妹にも。
「私はたぶん言ったら怒られちゃうから言わないわ」
優香さんが意地悪く笑いながら僕に「ねー」なんて言って同意を求めてくる。ので、僕も「ねー」なんて同意しながら優香さんにアイコンタクトを送る。ソ・ノ・ク・チ・ヌ・イ・ツ・ケ・テ・ヤ・ロ・ウ・カ・バ・バ・ア、と。
「まぁ…………ね」
と、優香さんが小さくぽそりと何かをモゴモゴ呟いて顔を紅潮させた。うーん、どうやら伝達にミスがあったらしい。僕の熱い視線がどう伝わってしまったのかものすごく気になるところだ。
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