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「それじゃあ……待ってるからねっ」
いつの時代のどこの作品のヒロインなのか、しおらしい様々に優香さんがわけのわからないわかりたくない言葉を残して明日に向かって走り去る。
「あー……?」
本日は悪質電波がとてもバリバリ飛び交ってる模様。バリバリ。
「優香さんどうしたの?」
「さあ?」
走り去ってく優香さんの背中を止めもせずに見送ってアリスが聞いて、僕はとりあえず惚けてみた。
なんとなく、いつでもどこでもどこまでも脳内がピンク色のお話畑で満開咲き誇り過ぎてて花粉症患者が多発してる優香さんの考えがろくでもないことだろうということくらいしか僕にはわからない。
決して具体的なあの人の妄想なんて想像もつきゃしませんよ?
「とりあえず、あの人を追わなくていいのですか?」
体よく理由を付けて追い払ってみる。優しいアリスちゃんならきっと追いかけるはず。
「え? やだ。めんどい」
ですよねー。うちのアリスちゃんならきっとそう言うよねー。
「それにはぐれた時にはこことここで落合うって約束してるのよ」
「そうなんですか」
そうなの、と学祭用のパンフレットを見せてくれて――唖然とした。
「ここが今、私達のいる場所で。もう一つがここ」
「……ここ?」
「うん。ここ」
剣道部の屋台で待ち合わせ、って嫌がらせだと思うんだ。
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