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「お姉ちゃんがひーくんさんのこと気にしてましたけど、意外と大丈夫そうで何よりです。……いきなり旅に出たと聞いた時は自殺しに行ったのかと……」
「ちょ。待ちなさい」
なんか今さらりとブラックなこと言われた。
「だって、ひーくんさん、あの頃なんか今にも死んでしまいそうな、むしろ死んでるんじゃないかと疑いたくなるような顔してまし」
その頃とあのブラリ途中下車はまた別なのだけれども。
ま。あー……あの頃はなぁ……と、思い返してみる。ビバ僕の黒歴史。
「あー、今は」このままだと恥ずかしい僕の過去が赤裸々に語られ始めてしまう雰囲気になりそうなため半ば無理矢理に話を逸してみたりなんかしてみる。「それなりに楽しくやってるよ」
「それよりも、まあ、あんなに泣いてた綾香ちゃんもけっこう元気そうで何よりってことにしときましょうかね」
「その節は、どうもです……」
顔がみるみる赤くなってく綾香ちゃん。あまりの初々しいさに思わず頬が緩む。
つい手が伸びて綾香ちゃんの小さな頭を撫でくり回しながら、ぽつり。
「お互いに恥ずかしいところ見られたもんだよね」
なんて、いつかあの日のことを思い出して、
「…………」
「…………」
お互い無言。綾香ちゃんなんかもう俯いて耳どころか首筋まで真っ赤になってしまってる。
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