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「とりあえず、綾香ちゃんはここんとこがしっかり大人になりますよう頑張りなさいな」
綾香ちゃんの胸をトントンと叩いてやる。
「おっぱい?」
「……心ですよ」
普段の行いの悪さが露見してしまった。
やっぱ、綺麗事でカッコ付けるのは僕には似合わないなぁ。こうゆうのはイケメンがやって初めて様になるものなんだろう。
現に、僕がやったところでセクハラにしかならなかったし。
「さて、と。じゃ、またね」
「え……あ、ああ、はい」
歯切れの悪い返事の後に僕の視線を辿って不自然なこの切り出しの意図に気付いたのだろう。
僕の視線の先には、綾香ちゃんのお友達が待っていた。
少し長く話すぎてしまったかな。さっきからチラチラとキャサリンちゃんやらアップルちゃんが遠目から僕らを見つめては目線を逸し、何やら話し掛ける機会を伺っているようにも見える。
お友達と来てたまたま知人がいて挨拶によったなんて律義なことだけど、お友達を放ったらかしにするのはさすがに良くはないだろう。
「お友達と来てるなら一緒にいた方がきっと楽しいよ」
「はい!」はにかむような笑顔がこぼれる。
……うん。やっぱり良い子だよな綾香ちゃん。
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