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まあ、隠すことでもあるまいし、正直に白状いたしましょう。
「アウトです」
「私のドキドキ乙女心を返せ!」
ドキドキとか乙女心とか歳を考えなさい。歳を。
まあ、でもこの言葉には続きがあったりするのだけれども果たして続きを言っちゃっていいものか。ダメなのか。
少し前までならこれだけでアリスは号泣して心の奥からガラガラと壊れて体調不良を起こすくらいに脆かったけれども、今はこんなんで怒るくらいに強くなってくれちゃったわけで。
「なんかなぁ……アリスって、ますます僕の好みからかけ離れて行くよね。何で?」
「ひどい!?」
はいはい。ひでーね僕は。
「でもさぁ、不思議なことにだよ。好みのタイプの女の子と好きになるタイプの女の子って何でか一致しないもんなんだよね」
本当にそれが何故だか、不思議なことに。
好みでいったら遥香さんやルシフェルさんとか筆頭株であるはずなのに。あの人達のことは思おうしなければあっさりと頭から欠落してしまう。好きとか、愛してるとか、きっとそんな感情は芽生えないだろうと、なんとなくわかる。
「何でだろうね、本当に?」
「ひーくん?」
そんな不思議な顔されても、この短い前フリから続く言葉はワンパターンというか、王道に一つだけなわけで。
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