けっきょく僕は僕なのです。

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  「ま。――どうでもいいけど」 毎度毎度のお馴染みの謳い文句を吐き捨て、僕は周りを見回してみる。 見渡す限り、人、人、人、人人人人人人人人人人人人。 「それでそれで! けっきょく七夕さんとは? そして聖城さんとの行く末は?」 「三角関係のご感想は?」 「何? 毎晩3P?」 言いたい放題に聞いてきやがる人人人。てか最後のは誰だ。 先の件を音川くんが言いふらしまくったのか、それとも奈々乃と僕の下りをどこからか聞いてたのか。はたまたその両方か。どちらにせよ野暮なことこの上ない。 「ひーくんさん、惚けても無駄なんですから。早いとこ吐いちゃって下さいよ? この親友であるわたしに」 「……わぁ。やな親友ですこと」 それとも、特に目立ちまくるこの親友のせいか。 親友。黒目がちの大きな瞳。真っ直ぐに伸びた艶のある黒髪。小振りの顔と、出来過ぎた人形のような愛らしさに、精巧に彫られた彫刻のような美しさ。さらには大理石で作られたような肌をした細長い手足を持つ、世界で一番美しいと言われても冗談に聞こえない、そんな女。 鳳凰堂萌瑠は、周りを集めてしまっているのだろう張本人のくせに、のうのうとそんなことを宣ってくれた。  
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