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「こんなに愛してんのになぁ……」
「愛が一方的すぎるんだよ」
うちの祖父様の場合。
まあ、お互いがお互いをちゃんと受け入れる愛なんてのは奇跡みたいなもんだとロマンチッキーに生きる僕は思うけれども。
「うちの祖父様の孫への愛がせめてlikeだったらねえ」
「loveで何が悪い」
そんなセリフを吐く時だけ真顔になるんじゃねえクソジジイ。
こんな変態野郎のところに四年近くもきーちゃんのことを預けていたなんて本当に気が狂ってたんじゃないかな僕は。
「つーかアンタ、きーちゃんのことを僕に聞いたってしょうがないでしょうよ」
なんてったって僕はきーちゃんに世界一嫌われているだろうお兄ちゃんだからね! マジで!
だから今まで祖父様に聞かれるまで触れも考えもしなかったし、何より僕自身、きーちゃんのために家族のことを考えないようにしながら生きてきた。
ところが、神様ってやつはどうにもこんな親不孝者を許してくれないらしく、いきなりきーちゃんは祖父様のところから姿を眩ましてしまったのだ。俗に言う家出。
「……そんで、そんな主張を持ってたお前がこうして校長室っつー俺がいる場所まで来てくれたのはどうゆう心境の変化よ」
「別に」
さすがに目敏いなぁ。
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