けっきょく僕は僕なのです。

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  「普通さ、親友ってこうゆう時こそほっといてそっとしてくれるもんなんじゃないの?」 「何を言ってるんですか? 親友だからこそ、この手の話題を酒の肴にして楽しむんじゃないですか」 ……それは果たして本当に親友と言えるのだろうか? 昔からあまり友達が多い方ではなかった僕には贅沢な話だが、そんなやつを親友にするほど友達に困った覚えもない。 「ま。どちらにせよこんな大勢の前で話す気はないんで、――さよなら」 ひらひらと手を振りながらその場を立つ。 このまま何事もありませんように。あの鳳凰堂相手に、本当に何もありませんように、なんて祈りながら。 「――遥香」 「はい」 「……ほらね」 なんて、無駄なことを。 つい呟きながら、予想通りになってしまったことを嘆くよりも早く僕は膝から崩れるように身を落とした。 直後、頭上をかすめていく高速の武骨な黒いロンドンブーツと紫色のガーターベルト。 「ちっ」 「いや。舌打ちとか」 つか、あんなんで蹴られたら冗談抜きで危ないわ。  
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