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体が重くて目が覚めた。
目を開けると、彼女がいる。
僕の上に、猫が寝そべるように乗っかっていた彼女の頭を撫でてやると、彼女はくすぐったそうな顔をしてこう言った。
「ひーくん、君はけっきょく君のままなんだね」
「……何を今さら」
意識を埋める微睡みと戦いながら、僕はそれだけ言って寝返りを打つ。
「きゃっ」
僕の上に乗っていた彼女が何とも可愛らしい悲鳴を上げながら転がり落ちた。
まぁ、いっか。
「今、何時だよ……」
手探りに時計を探し、何かが手に当たった。固くて小さい。たぶんケータイ。
「…………」
手繰り寄せて、暗い中、薄青色に光る液晶ディスプレイに映し出されたデジタル時計を見て、溜め息。
AM 01:47
「こんな時間に、何か?」
不機嫌さを隠そうともせずに低く唸るような声が喉の奥から出た。
彼女は僕のそれに「ひっ」と短く息を飲むような悲鳴を上げる。
それから引きつったような笑みをケータイの液晶の青い光で照らしながら、
「えっ、エロい夜を過ごそうと思いまして……」
恥じらいもせずそう言った。
いや。殴るぞバカ。
あれですか? 可愛ければ何でも許されるとか思ってんですか?
てかお互いに朝を考えるとけっこうキツくね?
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