けっきょく僕は僕なのです。

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  「鳳凰堂のお嬢様もよく言ってるでしょうに。ひーくんさんは顔だけはいいんですから」 にっこりと上品に微笑みながらほーおーの真似して言ってくれる真水ちゃん。 「顔の造形でアイツに誉められても嬉しくないけどね」 なんというか、アイツに言われる度に毎回思うんだけど、あのセリフをアイツが言うと嫌みにしか聞こえない。てかアイツこそ顔だけじゃないのか。 「あのお嬢様は本当に綺麗ですから。でも、ひーさんも負けてないと思いますよ?」 「冗談」 アイツと顔の造形の良し悪しで戦えるやつなんてそうそう簡単に出て来るとは思えない。 あれはもう別世界別次元別生物としてある種の魔的に妖艶な美しさってもんを纏ってるくらいだ。 バカだけど。 「まぁ、でも。アイツにそういう面で足りないのは自分の顔の良さへの無頓着さというか無関心さ? とにかく自覚が足りないよね」 アイツ、化粧だってまともにしないし。聞くところによると服だって無頓着らしい。女の子としてもっとその辺は気を使うべきだと思う。 「それ、アナタが言いますか?」 え? 言っちゃダメ?  
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