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「アナタ、けっこうカッコイイ部類の人ですよ?」
「そりゃあ嬉しいね」
たとえ冗談でも。
人並みの色恋に揉まれたことのない僕にはそれが世辞だとしかわかっていたけど。
だって、顔さえ良ければ今までだって彼女の一人や二人くらい出来てて今みたいなこんな他人から見たら羨ましいけど中はドロドロなんだぜな状況を上手く逃れられてたかもじゃないか。経験さえあれば。
本当にカッコイイ顔ってかイケメンなのは遊成みたいなやつのことを言うんだろうなぁと僕は思う。
だってアイツ、婚約してんのにまだ女子高生達から放課後に呼び出されて告られてるとかいう羨ましいやつだ。
僕と違って。
「まあ、それでってゆーね」
閑話休題。
どうでもいいか。
今さらになって、もし、だったら、れば、なんて言っててもしょうがない。
もともと人より頭ん中から歪んでんのは生い立ちのせいだけど、卑屈なのはどうにも最近になってからだ。まだ修正は効くと思う。たぶん。
「正直、周りが僕の顔についてどう言ってどう思ってるかなんて──どうでもいいんだよね」
「それは、どうしてですか?」
「それは体面気にするほど僕には友達がいないからさ」
真水ちゃんがずっこけた。
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