けっきょく僕は僕なのです。

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  「もったいないね。君には出来た女の子だったろうに」 神檀家教授はそう言いながら足を止めない。 「そうですね」 否定せず、頷いて僕は彼女の後を何となしについていった。 「私の研究室では君がいつ誰とくっつくか賭けられてたんだがね。見事に一番人気で実につまらない結果にも七夕君とくっつき、そんな早々と別れてしまってくれてはうちの男連中が黙っちゃないだろうさ」 あの子はうちでも人気なんだ。 と、続けて神檀家教授は言った。 ……薄々ながら、教授が自分の研究室に向かっていることを察していた僕は息を呑む。まさか言っていきなりデッドエンドなんてオチじゃないだろうな? 奈々乃が人気ってのはまあ今更なんだけれども。だからと言って僻み妬みから行動に移されたら堪ったもんじゃない。 いや。まだそうと決まったわけじゃないけれども。 「うちの男連中がひーくん君に加える虐待方法をもう四十八通り考えたというしな」 「そうと決まってた!?」 何てことだろうか! まさか虐待されることが当然になってらっしゃる!  
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