けっきょく僕は僕なのです。

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  「ちなみに女連中は次は誰が君に引っ掛かるかを議論中らしい」 「人聞きの悪いことを……!」 引っ掛かるってなんか僕が軟派なやつみたい。いや。たしかに硬派ではないけども。 「ちなみに次に来るのは叉蔵の子が大本命。次あたりに私らしい」 「何でそのダービーに教授が出馬してるんですか」 年齢差ってもんを考えやがれ。 「まあ、そんなことを言ってるうちにだ」 立ち止まり、改めて向き直り。 一言。 「ようこそ。私の研究室へ」 「あ」 やべえ。 今すぐ逃げなくてはと本能的にも理性的にも感じながら回れ右して早々に───、 「こらこら。どこへ行くんだ、ひーくん君? うちの男連中が首を長くしながら待っているというのに」 「だから、その方々に逢いたくないから帰りたいんですよ!」 がっしりと後ろから羽交い締めにされ、逃げる事も出来ず僕は叫んだ。 ただ、それはまたとても虚しく、 「いらっしゃーい、ひーくん」  
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