けっきょく僕は僕なのです。

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     ◆  ◆  ◆    「ひーくん」 食堂にて甘ったるいカレーを食べていると、奈々乃に襟首引っ張られて無理矢理そっちへと向かわされた。 まず飛び込んできたのは立派に育った形の良い大きな胸。うん。いつ見ても眼福ものです。 「おい。ひーくん……? どこを見ている?」 「んー……? ああ、はいはい。何か用?」 形の良い柳眉がつり上がり、鋭く細められた絶対零度と噂の鋭い視線が鉄さえ貫きそうな勢いで僕を見る。 肩口で切りそろえられた黒髪がよく似合う、この大学でも有名な、美人で奇人。 そんでついでに僕の友人。 彼女、七夕奈々乃がそこにいた。 「聞いたぞ」 「何を?」 「あのちみっ子と付き合い始めたらしいじゃないか」 ……何ですと?  
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