けっきょく僕は僕なのです。

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  「それはいったい、どこのどちらさまから?」 「半泣きの音川」 何かヤだ。 「ひーくん、君はあのちみっ子と付き合っていたのか」 そんなことを思っていた僕に詰め寄り、奈々乃が真剣に瞳を細める。 流石、絶対零度と噂されるその視線の圧力に、僕は思わず後ずさる。 奈々乃は後ずさった僕を追うように詰め寄る。 そしてチキンな僕、さらに後ずさる。 以下、くり返し。 僕の背中に壁がぶつかり、進行方向が回れ右してから誰かにぶつかるまでそれは繰り返され、 「で。どうなんだ?」 「それは嘘です」 吐かされた。 いや。だって怖いんだもん。 それに嘘ってのは本当。奈々乃や真水ちゃんのことについて断るのは音川君との面識上、楽だったのだけど。音川君からしたら顔しか知らない、見た目だけなら美少女のアリスについては断る適当な理由が全く思い付かなかったため、嘘を吐くことにしてみた。 自分自身、めんどくさがりの無頓着さが招いたことでありますよ。はい。 「……何だと?」 あ。奈々乃の柳眉がまた一段つり上がった。  
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