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くぅ~ん、と気が付けば側に戻ったコウガがつぶらな瞳で見上げてきていた。
どうしたの、とばかりに傾げられた頭が妙に可愛らしくて、劉青は笑った。
コウガはもともとは野犬だったのが、劉青に拾われ、なついた犬だ。怪我をおったコウガを、半ば助からないだろうと諦め半分で連れ帰った時には、最後の悪あがきとばかりに威嚇され、噛みつかれたものだった。
そんな懐かしい思い出を胸に、劉青はコウガの茶色い毛をくしゃりと撫でた。コウガは勢い良く尾を振って、負けじとばかりにその手を舐め返してくる。
「なんでもないよ。ただ、ちょっと森の様子がいつもと違う気がしてね。コウガは気付いたかい?」
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