63人が本棚に入れています
本棚に追加
3つの顔がこちらを見下ろしている。龍一、春、隆行だ。
隣にいるのは康介だけ。
いよいよ俺の番だ。
「じゃ、行ってくる」
「おう、気ぃつけてな!」
俺は康介に言い、1階の男子トイレの窓から校内に侵入した。
既に怖い。トイレはただでさえ怖い、それに夜だ……。
俺は頬を叩き気合いを入れると、懐中電灯の電源を入れた。
怖い。
俺は右手にカッターナイフを持ち、左手に懐中電灯を持った。
端から見れば危ない人だろうと想像しながらトイレを出る。
鏡に映った自分の姿がすごく怖かった。
俺って意外と怖がりなんだなと思いながら廊下を見回す。
普段は生徒で賑わう廊下も、窓から差し込む月の光に照らされ、とても不気味だ。
静かなのが更に怖さを倍増させてくださる。
俺は廊下に響く自分の足音にびくびくしながら階段へと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!