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?「あ・・・あっ・・・あっ・・・・」
女の子は倒れていた僕を動揺した様子で見ていた。
そりゃあいきなり人がドラム缶と一緒に倒れ出てきたら驚くのも無理はない。
女の子はさっきまで泣いていたが泣き止み、真っ赤に腫れた目と赤く染まった頬で僕を見ていた。
夕日の光りは女の子をほどよく照らし、正に絵に描いたような美人であった。
僕は少し見とれてしまい2分後我にかえる。
そして、今僕がするべき仕事はこの状況を何とかすること。
僕(うーん・・・まず、勝手に覗いていたことを謝るべきかな。)
?「あっ・・・あのう。」
女の子は少し掠れた小さなオドオドとした声だったが、そんな声もかわいい・・・って違う!
僕(あー。やっぱりびっくりするよな。・・・)
僕は痛む体を起こし、女の子から少し距離をとり、頭を下げ謝る体制をとった。
僕「あ・・・・あのーすいま・・・・?「いーちゃん?」
僕「なっ?!」
僕は素早く頭をあげ、女の子を見た。
いきなり上げた顔に女の子はびっくりしたのか、「ひっ!」っと、声をあげ後ろに2歩ほどさがりびくびくと怯えていた。
ただ、この時の僕は頭の中で女の子が呼んだ呼び名で『人探し検索』を行なっていた。
僕はこの16年間で沢山の名前の呼び方で呼ばれていた。
『飛鳥』『犬伏』『飛鳥君』『犬伏君』『あっすー』『あーちゃん』『いーちゃん』それから『犬』
最初の5個は毎回のごとく言われている呼び名だが、最後の三つはある特定の人物にしか言われていなかった。
そしてその中の『いーちゃん』を使っていたのは・・・・・・・・
昔保育園が一緒で僕が大好きなつーちゃん通称、津下 楓だった。
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