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会えた喜びでいっぱいだったはずの空気は一気に悲しくなった為、慌てて話題を変えようとある疑問をつーちゃんに尋ねることにした。
僕「そういえばつーちゃんはどうしてあんなところにいたの?」
そう。
何故あの気がつよそうな萌が取り乱した道につーちゃんがいたのか僕は不思議だった。
しかし、この疑問を聞いたのがいけなかったのか、つーちゃんの握る力が更に強くなった。
つ「えっ・・あっ・・・。あそこ夕日が綺麗・・・だから。」
焦っているのかおどおどとした声でつーちゃんは話す。
僕「そうなんだ。
そういえばつーちゃんはあの道へ行く別ルートを知っていたけど・・・もしかして毎日行っているの?」
今僕等がこうして安全に出れたのはつーちゃんが別ルートを教えてくれたからだ。
つ「うん。」
僕「そんなに夕日綺麗だったら僕も明日・・つ「来ちゃ駄目!!!」
突然叫ぶように拒んだつーちゃん。
びっくりした僕は急ブレーキをかけて自転車を止める。
僕「つーちゃ・・・つ「駄目!来ちゃ駄目なの!駄目なの!駄目なの!」
つーちゃんは首をブンブンと激しく振り続ける。
僕はなんとかしてつーちゃんを宥めようと自転車を降りようとしたが、つーちゃんが僕の服をがっしりと掴み、完全に身動きがとれない状態だった。
僕(早くつーちゃんを落ち着かせないと・・・・)
つーちゃんが益々混乱していくなか、僕はある方法しか思いつかず、覚悟を決め、行動にうつす。
大きく深呼吸をし、腹の中に空気をできるだけ多く溜め込みそして言い放った。
僕「つーちゃん!」
僕は近所迷惑になるくらい大声でつーちゃんの名前を叫ぶ。
つ「?!!」
それに驚いたつーちゃんは我に返ったのか、手の力を完全に話した。ようやく降りることが出来た僕は自転車のスタンドを下げ、自転車をその場に停め、つーちゃんを見た。
目は潤んでいて、まるで親に怒られた子供ようにびくびくと体を強張らせている。
そんなつーちゃんに笑顔を向けながら頭に手を軽く置き、優しく撫でてあげる。
僕「つーちゃん。僕は怒ってないから落ち着いて。
ね。」
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