始まり

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それからしばらくして、母の会社の上司やら同僚等が来てくれた。 だけど、父の姿が見えない。 俺は怒りを感じたが、半分良かったと思った。 ――――――――――・・… 俺等は出入口に立ち、来てくれた人に粗供養を渡していった。 最後に母が勤めていた会社の社長が話し掛けてきた。 これからどうするかと言ってきた。社長さんは優しいから家に来るかとまで言ってくれた。 「ありがとうございます。でも大丈夫です。自分も社会人ですし、社長さんに迷惑かけられません。」 「そうか…。だが、社会人といってもまだ学生二人を世話できるほど稼げないだろ?」 図星だ…。思わず顔を歪めてしまった。 するといきなり社長さんが肩を丸め、口元を隠して笑いを堪えていた。 「君は本当に母親に似ているな。」 俺はよく言われますと言い苦笑いした。 「ならば、君も相当な頑固者だろうな。私の誘いも絶対断るつもりだろ?」 「そのつもりです。お気持ちは有り難いのですが、迷惑をかけたくないので。」 社長さんはさっきより落ち着いた風に笑いながら、そうか。と言った。 「しかし、母の事よく知ってますね?」 聞いた瞬間、社長さんの顔は変化がなかった。が、周りの空気が変化したような気がした。
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