『おひめさまが泣いた』

7/10
前へ
/32ページ
次へ
「妹さん可愛いね」 暫しの沈黙を破ったのは私。 ちりとりに塵を集めながら彼の方を見ずに話しかけてみた。 多分、彼も私の事なんか見てないだろうし。 「まあ、素が良いからな」 「素?」 「親が」 なる程、親が美形なら子供も美形な訳だ。 「羨ましい気もするけど、モテ過ぎるのも大変そう」 「小人さんはハッキリ言うね」 「モテない側からの僻(ヒガ)みでもあるけどね」 「あはは、確かに」 確かにって…嫌みで返されても。 いつもクラスメイトに向ける笑顔よりも年相応に見える笑顔。 そっちの方が似合うなんて、言ってやらないけどね。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加