『おひめさまが泣いた』

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「小人さんは付き合ってる人いないの?」 ズバッと刺さる質問。 流石の私も仏が三度以上飛来する事なく、ムッと眉を寄せた。 「モテる誰かさんみたいに素敵な出会いがないもので」 「じゃあ、好きな人は?」 「いません」 ガコン 嫌みを綺麗にスルーして質問を続ける彼に、素っ気なく返事をして持っていたちりとりの塵を勢いよくゴミ箱に捨てた。 はあ…何言ってんだろ 「昼間の2人、実は付き合ってるの知ってた?」 「え?助っ人の…確か凛胡(リンゴ)さんと妹が?それって凄い!美形カップル!でもそんな噂聞いたことない」 少し疑うような口調で言いながら箒とちりとりを掃除用具入れに片付ける。 「そう?別に隠してる訳じゃないんだけど、3人とも幼なじみだから自然と一緒にいるから噂になってないだけ」 「気遣わない?」 「まあ…ね」 そう言った彼が教壇に肘をつき頬杖をついた。 口元は笑みを作るけど、前髪が影を落として全体の表情がわからない。
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