『サヨウナラと言えない私の弱さ』

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ただ変わらないこと。 それは私とアイツの距離。 「愛!遅ーぞ」 朝、日課となったアイツとの登校。 「ごめん」 慌ててアイツの隣に並ぶ。 「彼女いるんだから彼女一緒に行けばいいのに」 嫌味っぽく呟くとアイツはジロッと私を睨んだ。 「家、反対方向だし」 あっそう、と軽く流す。 「ラブラブで羨ましいことで。私も彼氏欲しくなっちゃった」 「お前が?無理だろ」 きっぱり否定するアイツの頭を鞄で叩く。 失礼この上ないアイツはイテェ…なんて言いながら頭を撫でていたが無視。 何で私は、 こんな奴を好きになったんだろう。 だってアイツは、 私の気持ちなんて知らない。 伝えてないから当たり前なんだけど… でも 好きともさよならとも伝えられないのは コイツと隣を歩けるこの距離が 手放せない所為。 『サヨウナラと言えない私の弱さ』 (彼女がヤキモチ妬くよ?) (愛なんかに妬くわけないだろ。家族公認の姉弟みたいなもんだし。それに……) (姉弟……?) (お前置いてくと調子狂うんだよ) (!……馬鹿)
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