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「若いお父さんですね」
既に暗くなった外の景色に、くっきりと浮かび上がる白い息を吐きながら息を切らせて駆け込んだ保育園。
入り口で擦れ違った子供の手を引く女性が独り言のように呟いたのが聞こえた。
それを小さく苦笑いして聞き流し、若い保育士と積み木遊びをしている少女に声をかけた。
「里沙、」
パッと弾かれたようにこちらを向く彼女の明かりが灯ったような笑顔。
俺はこの瞬間がすごく好きだ。
脚に抱きついてきた彼女を優しく抱き止め、遅くなったことを謝ると積み木を片づけて帰る準備をするように言う。
素直に頷いて離れると保育士に挨拶にいく。
準備を済ませた彼女が近付くと保育士には軽く会釈して保育園を出る。
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