『モノクロの絆』

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「若いお父さんですね、だって」 先程の誰かの母親の言葉を思い出してぽつりと呟いてみた。 彼女はわからないと言いたげに大きな瞳を瞬かせて首を傾げた。 「俺たちちゃんと親子に見られて嬉しいなって思ってさ」 彼女に視線を落とすと彼女も嬉しそうに大きく頷いた。 “若いお父さん”そう言われるのは珍しくないよくある事だ。 ただ里沙は俺の子供ではないし実の親でもない。 里沙はまだ5歳になったばかりだし、俺だって今年24歳になる。19で父親になるのは珍しくないがそんな節操無しではない。 里沙と俺には全くと言っていいほど繋がりがない。 ただ一つ共通点があるとすれば愛する人を失ったことぐらい。
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