『おひめさまが泣いた』

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「コビトさん」 友達と談笑する私の元にわざわざ彼が声を掛けて歩み寄ってきたのが見えた。 ………私の名前はコビトでは決してありません。 ムッと表情に出してしまいそうになるのを押さえ込み、なんとか笑顔で応える。 「私はコビトじゃなくて小人(オビト)です」 敬語なのは周りに気付かせない囁かな嫌味。 「ああ、ごめん。つい、」 ついってなんだよ。と言う突っ込みよりどす黒い感情を飲み込みスラリとした背の高い彼を見上げた。 「それで、何か用があって呼んだんじゃないの?」 「間城先生が呼んでた。職員室に来てくれって伝言」 「………私、なんかしたかな」 「さあ。でも先生の口調からするとそんな悪い事じゃなさそうだけど」 「けど…?」 「それは行ってからのお楽しみじゃないかな」 鬼畜!ドS!腹黒! なんて言える勇気もなく渋々教室を出て職員室に向かう。
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