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妻を失った日から数ヶ月経ち、未だに私は癒えない傷を負っていた。
それほど妻を失った悲しみが大きかったのだろう。
そんなある日、都が私に泣きながらこう言ったのを未だに覚えている。
都「寂しいなら、私がお父さんのお嫁さんに…お父さんの側にいるから…!だから…もう泣かないで…?」
そう言い、都と約束した日が何年か前の今日だった。
都「…思い出した?…私、もう16歳になったよ…?…ずっと待ってた…。」
父「…ああ、思い出したよ…。だが、私はお前の父親だ。歳だって一回り以上ある…。お前にはこれから色々な出逢いがあるだろう。だから約束なんて忘れ…」
都「違うよ…お父さん。約束だから…お嫁さんになりたいんじゃないの…。お父さんが好きだから…、愛してるから…お父さんのお嫁さんになりたいの。」
都「それに…「私は貴方を……さんを愛してるから貴方の側にいたいの。」」
…少し、見惚れていた。都が最後に言った言葉は妻が私に言ってくれた言葉で、それを言う都に生前の妻を重ねていた。
その時、私は父親である事を忘れて、妻と似て非なる娘である都に惹かれた。
気付くと私は都を抱き締めていた。抱き締める感覚は柔らかく、娘では無く、都という女の子を感じていた。
都「お、お父さん…///?」
父「…今すぐ君を奥さんには出来ない…が、…私と付き合ってくれますか?都さん。」
私が今出来る限りの都に対しての答えを告げた。
それを聞いた都は瞳を潤ませながら、私に笑顔でこう答えてくれた。
都「…はい!…私を貴方の彼女にして下さい。…お父さん。」
…私は少し苦笑してしまった。彼女のスタンスはそう変わる物でも無く、お父さんと呼んだのは少なくとも私の奥さんになる日までは変えるつもりは無いようだ。
そんな彼女を少しだけ愛らしいと思った私は変わったのだろうか。
少なくともこれから最愛の娘であり、好きになっていく彼女の都と私の日常は変わっていくのだろう。
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