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朝。それは誰にも等しく訪れる物だ。
私の様なサラリーマンにとってはいつも通りの決まった残酷な儀式だ。
布団という楽園の中から会社という牢獄へと誘われる忌まわしき儀式だ。
恨めしい事この上無く朝に弱い私にとって太陽ですら私を嘲笑う様に思えてしまう。
………目が覚めてこんな事を言っている自分が恥ずかしい。
昔も確かこんな事を考えていたな。
あの時は気付いたら妻が私の布団に潜り込んで寝ていたな。
いや、懐かしい。懐かし………
父「………」
気のせいか毛布がこんもりとしている。
…デジャブという奴だろうか。
私はそっと毛布を取ってみた。
都「…………」
都が静かに寝ていた。この娘は寝てる姿も母親そっくりなのか。
というか息をしなさい。お父さん何か怖いから。
………
父「いやいや、待て待て。」
何故都がここにいる?昨夜は自分の部屋に戻った筈だ。
…カエルの子はカエルという事か。
行動までそっくりだな。多分理由も同じなんだろうな。
大人しい娘だと思っていたが、今まで抑圧していたのか。多分昨夜の事で抑える必要が無くなったんだろう。
妻もこういった愛情表現は激しかったからな。
…これからの事を考えると、少し身震いしてしまう。
何れにせよ都を起こさないと始まらない。
父「都、都。起きなさい。」
都を起こす為に揺さぶる。因みに都を見てはいない。
…親としても男しても直視出来ないから。
都「………んんっ……お父さん……おはよう……///」
都は案外素直に起きた。こういう所は遺伝しなくて良かった。妻は寝惚けて私を襲っていたからな。
…直視出来ない所も遺伝では無いが。
父「おはよう。何故布団の中に潜り込んでいたんだ?」
私は都に聞いてみた。心なし恥ずかしそうにえと、あの等を呟いている都が妙に可愛らしく見える。親バカかノロケかと言えば、親バカに近いが。
都「えっとね…朝起きた…時にね…お父さんの顔が…見たかったの…///。」
ああ…本当に。
こんな所まで一緒とは。
私に嬉しさと危機感が訪れた。
妻の時もそうだった。都の時もそうなんだろう。
妻が同じ行動を取った時…私には面倒で恥ずかしい危機が訪れたのだから…。
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