616人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
それから教室に帰ったら、女子達に滅茶苦茶質問攻めにされた。
おいおい私は聖徳太子じゃないんだぜ?
なんて冗談すら言うに言えず、私はひーちゃんにあったことを話した。
「ああ、よかったね」
「よかったね!? この経緯聞いてよかったね!? 私に何かメリットがあったかね!?」
結局はからかわれて意味深なよくわからん台詞吐かれただけなんですけど。
ひーちゃんはクスクスと笑いながら「だって、」と一言、私を見詰める。
「生徒手帳拾ってもらってそんなに構ってもらえたんでしょ? よかったじゃん」
えぇー? 構ってもらったって何よ? ノーサンキューなんですけど、超迷惑なんですけど。
「だって名前も知らないし話したこともない先輩だよ?」
そう言ったら、ひーちゃんはぴたりと笑うのをやめてじーっと私を凝視し始めた。あれ、さっきの優しい眼差しは何処に?
「あの人、北城先輩だよ」
「え?」
衝撃的でした。
最初のコメントを投稿しよう!