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あの嫌味なセンパイが、噂に聞く北城先輩?
「噂通り爽やかでカッコイイ先輩だったねぇ」
うっとりしているひーちゃんに私はブンブンと高速レベルに達するんじゃないかってくらいに手を振った。
「いやいやいや、騙されちゃダメだよ、あれは爽やかなんて分類じゃないよ。段々本性現すよ、あの人結果的に一人称『俺様』だったからね」
爽やか? 馬鹿言っちゃいかんひーちゃん。
めっちゃくちゃ意地の悪そうな笑顔してたよ、爽やかのさの字のsすらなかったよ。
「俺様なの? いいじゃんかっこよくて」
「いやいやただの我が儘でした」
「そんなに頑なにならなくても」
「むぅ」
どうどうと宥められるように背中を叩かれて私は不機嫌に唇を尖らせたまま机に突っ伏した。
「ほら、もう帰ろ? 折角午前で終わったんだし、一緒に食べに行こうよ」
「行く!!」
友達と外食をしたことがない私は目をキラキラさせながら勢いよく顔を上げた。
ひーちゃんはにこっと人懐っこい笑みを浮かべて「じゃ行こう!」と机の横に掛けてあった私のスクールバックをどすんと机の上に載せた。
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