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そうだ、ひーちゃん慌ててお金置いて行かなかったんだ……!
いや、私だって奢るくらいはなんてことはない、よ。けど、自分の食べる分、所持金ギリギリで頼んじゃったから全然足らない。
……困った。
「……やっべぇ」
いや、マジで。
テーブルから動けなくなり、私は自分の食い散らかした料理を見てちょっぴり泣きそうになってしまった。
何でこんなに食べたの! 馬鹿! 私のおバカ!
がんっとテーブルに額を打ち付けた。
ああもう。本当に私ってば駄目だな……。
「……行くぞ」
そんな時、不意に頭上から声が降ってきた。
私がその声に顔を上げるより先に腕を掴まれ引っ張られる。慌ててスクールバックを持って、ずるずると引き摺られていく。
その大きな背中はさっさと会計を済まし、ファミレスを出た。
私は頭が完全に状況に着いていけず、大きな背中に呼び掛ける。
「せんぱい」
けれど返事は、ない。
「せんぱい」
「せんぱ――」
「なーにやってんだオメーは。馬鹿か」
「……」
開口一番にコレかよ。
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