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何だろう。こんな美人な子が、私なんぞに何の用があるというのだろうか? いくら記憶を辿っても思い当たる節は全くの皆無で、私は首を傾げた。
「単刀直入に聞くわ。貴女、北城先輩の何なの」
「……」
先輩絡みかよ……!
まぁ確かにね、こんな美人さんが私に話し掛けてくる理由なんてそんなもんだよね。チェッ。
「何なのと言われても……。特に何もないよ」
「嘘よ!」
「嘘じゃないよ」
えええええ否定された、何て言えば納得するのこの子は。とは言ったものの他に何と言えようか。言えないよ。頼むから納得してよえんじぇる!
「だって呼ばれていたんでしょう!」
「それは落とし物を届けてくれたんだよ」
「手を引いていたのを見ていた人もいるのよ!」
「あっそれはちょっと恥ずかしい出来事だからここでは言えない……」
「そら見なさい!」
違うぅぅぅぅ!! だってあんな羞恥まみれの話普通に言えないよ恥ずかしい!
所持金足らずに奢ってもらったなんてたちまち私に阿呆のレッテルが貼られてしまう、私は普通の高校生活を送りたいんだ!
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