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先輩に会いたくない憂鬱で足が重たい私をひーちゃんがにこやかに引っ張る。
うふふ、ひーちゃんの顔の嬉しそうなこと! 妬けちゃうっ! けれどね私今凄く嫌な予感が胸を締め付けているよ!
「すみません! 北城不比等先輩いますか?」
先輩の教室に着き、ドアのすぐ近くにいた先輩にひーちゃんが可愛らしく尋ねる。小首なんて傾げちゃってもう可愛い! あっ話し掛けられた先輩も何か照れてる。わかりますその気持ち。
「おい北城! 何かスゲー可愛い子が来てんぞ!」
あれっひーちゃん単体? 一応私もいるんですが! まさか存在に気付いていないのですか、ひーちゃん眩しすぎて私見えませんか!
「あっ違うんです、一番用があるのはこの子で……」
トン、と軽く背を押されひーちゃんと並ぶ。すると先輩はきょとーんと私を見た後
「あと普通の子!」
と言った。えええええ何その明確な格差! や、確かに私なんぞひーちゃんと比べりゃ蝉の脱け殻のようなものですけどね、だけど先輩、それは貴方の心の中にそっと仕舞ってくれても良くないですか。
いやブスと言われないだけマシ、か……?
なんて悶々とする私と、わくわく先輩を待つひーちゃんに第三者の声。
「あ、山城!」
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