極力関わらないでいただきたい。

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「どうした? わざわざ来てくれるなんて」 北城先輩だ。 俺様を感じさせるオーラなんて微塵もなくて、爽やかな笑顔で歩み寄ってくる。チクショウ擬態が上手いな! 「や、あの。お金、返そうと思って」 「ありがとうございました」 ひーちゃんがにこっと笑ってお金の入った封筒を先輩に差し出した。ってええ封筒!? ひーちゃん準備いいな、私普通に持ってきちゃったんですけど! 「あっありがとうございました」 じゃらりと小銭を手のひらでまとめて差し出すと先輩は「別に良かったのに」と爽やかに笑った。ひーちゃん含めその笑顔を見た皆がほわんとうっとりして頬を染めている。 皆騙されるなこれは建前だ! なんて、私の心の中の叫びを察してる人なんているわけもなく。皆この爽やかで良い先輩に微笑ましげな顔、だ。 「まぁ折角二人が来てくれたから貰っとくよ」 ありがとな。 そう言ってまたスマイル。 ひーちゃんがにぱっと何とも可愛らしい笑顔になるから、私はもう何も言わず愛想笑いを浮かべる他なかったのだった。 まぁでも用は済んだし借りは返した。さっさと帰ろうとひーちゃんと去ろうとした時、だった。 「山城! 放課後、待ってろよ」 何でだっ!
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