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せっせんせぇー! 明日じゃ意味ないんですよ今日じゃなくちゃ駄目なんですよぅ!
「もういいか? 会議あるから行くぞ」
「あっ」
……行ってしまった。
私ってつくづく運ないよな……!
がっくりと項垂れて、掛けてあったスクールバッグを担いで教室を出た。
もう諦めよう……。
下駄箱で靴を履き替えて外へ出た。辺りを見回すけど、先輩はいない。まだ来てないのかな?
「……」
帰っちゃおうかな……。忘れてたことにしといて。いやでもそれはやりすぎ? 一応助けてもらってるかなぁ二回も。邪険にしすぎるのもあれかな、加えてあの人根に持ちそうだし……。
「んんー」
仕方ない、待とう。
私は昇降口の正面にある銀杏の木の下まで歩いていってそこに腰を下ろした。
ふわり、と風がふいて頬を擽った。顔にかかった髪をかきあげて、小さな溜め息をつく。
「……来るなら早く来いよなぁ」
ぼそり、と呟いた。
「来てるよ、結構前から」
「うひゃあ!」
え゛!?
今声が! え、誰もいないんだけど確かに今声が!
焦りながら辺りをキョロキョロ見回す私を嘲笑うかのように背後から「ぶはっ」と噴き出す声が。……背後?
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