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「ちょ放してくださいよ」
「あーん?」
「あぁんっじゃなくてですね」
「おい喘ぎ声みたく言うんじゃねえよ」
「なんで手繋いでんですか、放してください」
「逃げんだろ」
「逃げない! ……とは言いませんけど」
「くはっ、だからだよ」
だからってがっちり握らなくても! どうすんだ先輩を好きな子に見られたら! 私が先輩を好きだと勘違いされてしまう、違うよ私はこんな俺様好きじゃないかんね!
なんて思いながらも指を引き剥がそうとするけれど無駄だった。
相変わらず先輩は何処へ行くのか私に教えないまますたすた歩いていってしまう。
「山城。手繋ぐの嫌なら首輪にしてやろうか、丁度そこにペットショップがあんぜ」
「わぁーい憧れの北城先輩と手繋いじゃった! うーれしーもう少し繋いでたいなぁてへっ!」
ぐいぐい手を引っ張る私を痺れを切らしたように言う先輩に私は手を放すのを諦め棒読みでそう言ってはっと短く息を吐いた。
首輪って何のプレイだよ!
「おお、そりゃ嬉しいね」
「あっはっは!」
「そのあからさまな出任せ、面白いぜ」
「……」
何言っても面白いだよ、たまには仕返ししたいよ畜生。
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