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その後、先生が来たので話を早々に切り上げ私は席に着いた。
あーあ、今日は倉庫の片付けかぁ。くそっ今日はさっさと帰りたいのに、先生め。昨日にしてくれればいいのにさ!
「ねぇ」
昼休み、ひーちゃんと一緒に昼食を食べていた時。
呼ばれた声に顔を上げればいつぞやの美人さんがいた。相も変わらず不機嫌そうな顔で。
「北城先輩と、手繋いで歩いてたって?」
またその話か!
何なの、ていうか噂広がるの早くてなんか怖い。
「あれは先輩から、」
「……」
私が全部の言葉を紡ぐ前に美人さんはついっと目を逸らすと踵を返して教室を出ていってしまった。
私はぽかん、とそれを見やってから首を少し傾けて、食べるのを待ってくれていたひーちゃんへと向き直る。
「なんだろ。ひーちゃんごめんね、食べよう」
「うん」
あの美人さん、なんだか厚化粧さんとはなんか違うんだよなぁ……。
何て言うか、よくわかんないけど。
そんなことを考えながら箸に刺さったままだったウインナーを口に放った。
「じゃあ山城、これ鍵な」
「はーい……」
「なんだなんだ、お前から言い出したんだ、しっかりやれよ」
「はーい……」
放課後、先生から鍵を受け取り私は底辺近くまで落ちたテンションで倉庫まで向かう。
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