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「私が思うに、アンタはちょっと痛い目見た方がいいと思うのよね」
「そんなん日常茶飯事ですけど」
「アンタに付きまとわれて、北城先輩だって迷惑してるのよ」
「や、だから私は付きまとってない、ていうか逆に、」
「だから。アンタ、反省しなさい」
「話を、」
バタン。
聞け、と言おうとしたんだけども。
少し暗くなった室内と、がちゃりという音。一気に頭の中は真っ白になって私はぱちぱちと瞬きを繰り返してからすぐに現状を理解して、どん、と扉を叩く。
「ちょ、何してんの!?」
「鍵さしっぱにするなんてバカね。せいぜい反省なさい、鍵は返しておいてあげる」
「はあ!?」
返しておいてあげるじゃねーよ開けろ!
どんどんと扉を叩いて、「冗談やめてよ開けて!」って言うけど、高笑いはどんどん遠ざかる。
え、マジで? マジで私、閉じ込められたの?
「くそ~なんて陰険な! だがしかぁーし、世の中そんな甘くないぜ!」
まさかこんな漫画みたいな展開になるとは思わなかった。少女漫画みたいだ。
けど私は今、携帯電話という文明の利器を所持している。即ち救助を呼べるのだ!
ふふふ、あの厚化粧さん間抜けだな!
「じゃあひーちゃんにかけよう」
電話帳からひーちゃんを引っ張ってきて通話ボタンを押す。
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