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『只今電話に出ることができません。ピーという音の後に、』
ぶちっ。
「る……留守電だと……!」
なんてタイミングの悪い。仕方ないな、他の人に……
「……」
ああなんか。今、無性に泣きたい。
「ひーちゃん以外知らない……」
と、友達がいないわけじゃないんだからね! ただアドレス交換してないだけで!
私は脱力してその場に座りこむ。助けが来るまで、私はこんな陰気な所にいなきゃいけないのか。
そう思うと、やるせない。
「だから、嫌だったんだ」
先輩と、関わるの。
「おーいもう一時間経ったよ。いい加減出してくれてもよくないか? まさか帰ってないよね?」
どんどん、と扉を叩いてみるけど返事はない。
……ていうか、本格的にヤバくないか、暗くなってきたよ外。
一人ぼっちでこの密室空間にはキツいものがある。日も落ちてきた。
「よ、よしこんな時こそ歌って気を紛らせるんだ! うーさーぎーおーいしーかのやまーこーぶーなーつーりしー誰か助けてぇぇ!」
もうわけわかんなくなってきた!
やばいよ若干泣きそう。
何だって私がこんな目に。
じわり、と視界が歪んで、ぎゅっと拳を握り締めた時。
がちゃり、という音と、回るドアノブ。
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