だから、言ったじゃないですか。

7/10

616人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
『只今電話に出ることができません。ピーという音の後に、』 ぶちっ。 「る……留守電だと……!」 なんてタイミングの悪い。仕方ないな、他の人に…… 「……」 ああなんか。今、無性に泣きたい。 「ひーちゃん以外知らない……」 と、友達がいないわけじゃないんだからね! ただアドレス交換してないだけで! 私は脱力してその場に座りこむ。助けが来るまで、私はこんな陰気な所にいなきゃいけないのか。 そう思うと、やるせない。 「だから、嫌だったんだ」 先輩と、関わるの。 「おーいもう一時間経ったよ。いい加減出してくれてもよくないか? まさか帰ってないよね?」 どんどん、と扉を叩いてみるけど返事はない。 ……ていうか、本格的にヤバくないか、暗くなってきたよ外。 一人ぼっちでこの密室空間にはキツいものがある。日も落ちてきた。 「よ、よしこんな時こそ歌って気を紛らせるんだ! うーさーぎーおーいしーかのやまーこーぶーなーつーりしー誰か助けてぇぇ!」 もうわけわかんなくなってきた! やばいよ若干泣きそう。 何だって私がこんな目に。 じわり、と視界が歪んで、ぎゅっと拳を握り締めた時。 がちゃり、という音と、回るドアノブ。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

616人が本棚に入れています
本棚に追加