だから、言ったじゃないですか。

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そこに、いたのは。 少し息を切らして、少し驚いた顔をして立っている、 「……本当にいた」 あの美人さん、だった。 (あれ、何で私今) 浮かぶ疑問を頭の隅に追いやるように頭を振る。 美人さんは倉庫へと入ってくると私の前にしゃがんで「大丈夫?」と顔を覗きながら訊ねた。 私は何が何だかわからなくなって、ぎゅうと目を瞑って頷く。瞑った瞬間、つっと頬を伝ったのが何なのかなんて考えもしなかった。 「ど、してここに、」 「話してるのを聞いた。冗談だと思ったけど、本当だったら流石にやりすぎだと思ったから」 「……そ、か」 そうだ。わかった。 厚化粧さんと美人さんの違うところ。 二人とも先輩が凄く好き、だけど、美人さんは、優しいんだ。私のこと、気に入らなかったはずなのに、それでもこうして心配してくれてる。 「だ、から言ったじゃないですか」 ぼろぼろと涙を溢しながら私は途切れながらも言葉を紡ぐ。 「私は、先輩なんか、好きなんかじゃなくて。私は、先輩にちょっかいなんて出してなくて。私は嫌でも、先輩が、来ちゃうんだ、って」 更に、言う。 「私は、先輩が、嫌いだって」 何でだろう、この言葉だけは、言った瞬間胸が何だかもやもやして、詰まるように感じた。
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