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「よ、山城」
「……おはようございます、先輩」
「ん?」
山城ましろ幽閉事件(仮)の翌日。結局私は寝付きが悪く、いまいちテンションが上がらないまま歩いていた。
そんな私の肩をぽん、と叩き挨拶してきたのは北城先輩で、私は昨日のこともあってなんとなく気落ちしながら返事をする。
そんな私を、先輩は不思議そうに眺めた。
「何か元気ねぇな」
「気のせいじゃないですか、じゃ」
そそくさと去ろうとする私の手首を先輩が掴む。意味がわからない私は顔を歪めて何ですか、と問う。
「いーや、別に。けどな山城。それで隠せてると思うなよ。バレバレなんだよ」
「……」
なんだよそれ、私がわかりやすいって遠回しに言ってるのか(遠回しではなく直球ストレート)。
はんっ、別にいいやい。
「別に先輩には関係ありませんし、私が隠すの下手だろーが何の問題はないでしょう。ノープロブレム、モーマンタイ。では」
ぱ、と先輩の手を振り払って、私は学校へと急いだ。そらみろ、先輩から来てるでしょ。私が先輩に群がってるんじゃないですよ、厚化粧さん。
「何だあいつ」
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